5.浪人するわ
センターで失敗したのも相まって、勉強はさらに加速した。睡眠時間を削った。多分、3時間も寝ていない。焦る、焦る。もうやばい。
浪人する覚悟はあるが、いざ、その窮地に立たされると焦って仕方がない。とにかく勉強するしかない。もう辺りが暗くなり、クソガキがいびきをかき始めている。
俺は、もうやるしかないと必死に勉強を重ねた。睡眠時間は3時間あれば、良い方だった。
私立の入試。中央は、多分受かった。しかし慶応は、分からない。時間は、加速して気づけば合格発表。
国立の入試が目前だというのに、俺は親と私立の発表をみた。
「合格まで届きませんでした。」
と親がこちらを見ていった。
「バーか、バーカ」とクソガキの声が聞こえた。
でも。もう何も言えない。もう何も感じない。俺は、一言も話さず自室に籠った。
6.すべて捨てた
中央には、受かった。しかし死んでも通う気はない。中央に行って何をするんだ。だったら浪人した方がマシだ。
俺は、みんなが遊んでいる中、必死に勉強する。ガヤガヤと周りがうるさい中、問題集を解く。俺だけは勉強している。周りは、スマホ、雑談とリラックスしている。対称的に俺は、不安と焦りでひたすらに勉強する。
今日は、卒業式だというのに、悲しみも懐かしさも何も感じない。野球部の奴らとも、同級生の奴らとも色々あったのに。きっと俺の高校時代は、勉強、ピアノ、野球。その割合は、勉強7,野球2,ピアノ1くらいだろう。
卒業アルバムにみんなが寄せ書きを書いている。その中をすり抜けて、自習室に籠る。もう時間がない。
7.浪人します。
後期の試験が終わった。
長かった高校3年間が終わった。今日をもって俺は、俺の受験は一通り終わった。多分ダメだ。
俺は、学校へ行き、浪人生が通う予備校への推薦書を貰いに行った。浪人すると予備校の費用がバカにならない。少しでも安く済ませるために、推薦書を書いてもらった。
4月からの入塾手続きをスムーズにして、安くする。これくらいしか、今の俺には出来ない。また繰り返すんだ。
合格発表の日。
俺は、自室に籠った。家族は、みんな1階にいる。俺の部屋は、2階だ。
ホームページから発表をみる。数字の羅列。前期の発表は、どんな感じだったのだろう。とそんなことを考える余裕は、ない。
自分の番号をゆっくりと、探す。心臓のバクバクとした音が耳や身体に響き、何も聞こえない。震える指をスマホに当て、番号をじっくり確認する。
スマホを持つ手が一気に震えた。
俺は、扉を乱暴に開け、階段を駆け下りる。大した数のない段数なのに、転びそうになった。
ダダダダダダダダ。バン!
玄関を開けて、今までにない咆哮を上げた。
うかったぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ。うかった。うかった!!受かったぁああ!!
親は、仰天して確認してくる。本当に番号があったの?と。俺は、胸を躍らせていたが、再びスマホを見る。
アレ?一瞬と思った。しかしやはり俺の番号だ。
やったあああああああああああああああ
俺は、浪人しなくて済む。俺は、大学生になるぞおおおおおおおおおおおおっ!
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